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ドナウ河紀行―東欧・中欧の歴史と文化 (岩波新書)

ドナウ河紀行―東欧・中欧の歴史と文化 (岩波新書)

加藤 雅彦

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northeast57
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2010年9月読了
 著者によれば、「中欧」とは単なる地理的概念(=中央ヨーロッパ)ではなく、「ドナウ河にのぞむ国々、…“ドナウネットワーク”によって結ばれたきた国々」(p.76)であって、ミルン・クンデラを引用して「『中欧』の“境界を正確に引こうとすること無意味であろう。中欧は国家ではない。それは文化であり、運命である”」(p.74)と言う。
 ドナウ源流のドイツから、オーストリア、チェコスロバキア、ハンガリー、ユーゴスラビア、ブルガリア、ルーマニア、ソ連と黒海に至るまでが紹介されていく。
 ハプスブルグ帝国領としての結びつき、オスマン・トルコの支配と独立の歴史、両大戦による変動等により、「中欧」が発展し、また阻害されいった歴史が理解されるとともに、バルカン諸国の民族問題の根も明らかにされる。
 こうした「中欧=ドナウ世界」の案内である本書は、1991年刊であるため、ソ連邦は未だ健在、ユーゴスラビアの内戦は勃発したばかり、チェコとスロバキアは分裂前であり時事性に欠けることは否めない。しかし、それを割り引いても、十分に新鮮で興味深い好著と言えよう。

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