📝 レビュー (Yooさんのレビュー)
評価:
4/5
レビュー:
林望先生訳源氏物語の第3巻。須磨、明石、澪標、蓬生、関屋、絵合、松風を収録。官位を剥奪され身が危うくなった源氏が須磨に逃れ、嵐にあい明石に辿り着き、その後復権して都へ帰り着く政治的な話。明石の君が身分違いの境遇を嘆く澪標。草茫々の邸で源氏を待つ末摘花を再発見する蓬生。逢坂関で空蝉とはち合わせる関屋と言う3篇の女君もの。六条御息所の娘を入内させる絵合と明石の御方と言うか姫君を都に迎える松風は、源氏の次の栄華への布石と言うところ。須磨、明石と不遇の身でいる期間は2年半と、それほど長くない。ここへ来た目的は、後の明石の中宮を仕込むためなので、それ程長期間にしても意味がないのだろう。ただ、はじめは紫の上を思って誠実そうな源氏が、明石の君のことを知るほどに生来の性癖が蠢きだし、契ることになる下りは丁寧に描かれている。ただ、別室に鍵をかけて籠もった明石の君があっさり身を許す所が物足りない。澪標は能の住吉詣の原作に当たり、豪華絢爛な能だと言う。一度見てみたいものだ。
読書履歴
2025/11/09
369ページ
松風読了。そんなにもったいぶらなくてもと思うが、怖いと言う気持ちもわかる
2025/11/06
319ページ
絵合読了。代理戦争ですね
2025/11/04
280ページ
関屋読了。言い寄られて出家は一つのパターン?
2025/11/03
268ページ
蓬生読了。口のうまい源氏、思いやりも身につけたらしい
2025/11/02
222ページ
澪標読了。斎宮の身が心配
2025/10/31
157ページ
明石読了。すべては運命か
2025/10/29
85ページ
須磨読了。潔白だとの主張。確かに謀反を起こした訳ではないが、朧月夜のことを考えると白とは言い切れないのでは。紫上が邸内での地位を確立しているのはめでたい。
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