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リーチ先生

リーチ先生

原田 マハ

この本の所有者

6人が登録
11,221回参照
2017年5月10日に更新

書籍情報

ページ数:
472ページ
参照数:
11,221回
登録日:
2017/05/10
更新日:
2017/05/10
所有者:
zooko012 zooko012さん

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📝 レビュー (zooko012さんのレビュー)

レビュー:
これは正しく自分のための本だ。以前に、骨董のエッセイ本でバーナードリーチの水墨画風の絵の写真を見たことがある。湖を背景にすずきみたいな植物が描かれているだけの絵の、それも、白黒の小さな写真である。しかし、完全に心を奪われた。何とも言えない余韻があって、これが外国人が描いた絵?と思うほど、日本的情緒・空気感のある。そこで、「バーナード・リーチ日本絵日記」を買い求め、リーチの民藝の柳・濱田らとの交友を知った。さらに彼らのことを知りたいと思ったものの、適切な書籍がなく、といったところで、5年以上が経過した。そうしたところに、自分がファンであった(ただしノンフィクション的美術小説に限る)原田マハによるこの本が出たのである。これを読まないということはありえず、夢中になって読んだ。

イギリスの無名な若者リーチが、日本美術に関心があるというだけの理由で、特段の縁故もなく、無鉄砲にも日本を訪れる。そして、同じように無名だった柳や濱田と出会い、芸術について語り合うようになる。そして、陶芸に出合い、一からこれを学び、のめり込んでいく。柳はそんなリーチのために自宅に窯を開いてやり、作品を売る場を提供する。濱田はイギリスに帰って陶芸を広めようとするリーチに付き添い、イギリスで共に窯を開く。そして、それぞれ、民藝の、陶芸の世界的な大家となった。国境を越えての何という陶芸・芸術に対する無償の情熱か。そして、友情の理想型の一つがここにある。

民藝その周辺に興味がある人にはうってつけの書物だ。ただ、これが一般の人に面白いかどうかはわからない。また、原田マハは、やはり美術とはいえ、陶芸は畑違いのようで、物語の面白さはさておき、その陶芸の描写自体はわりとありきたりで、他の美術小説のような熱を帯びた乗り移ったかのような何かはない。やはり、その描写から絵画が専門であるのだな、改めて思った。

読書履歴

2017/05/10 472ページ

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