
AURA ~魔竜院光牙最後の闘い~ (ガガガ文庫 た 1-4)
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2008年7月23日に更新
内容紹介
その日。教科書を忘れた俺は、夜半に忍び込んだ学校で彼女と出会った。教室に向かう階段の踊り場。冷たい月の光のスポットライトを浴び、闇を見据えている少女。美しい―。そこには、人を惹き付けるオーラを放つ青の魔女がいた。...いや待て、冗談じゃない。妄想はやめた。俺は高校デビューに成功したんだ!そのはずだったのに、この妄想女はッ!「情報体の干渉は、プロテクトを持たない現象界人には防ぐことはできない」「何いってんだかわかんねーよ」実はだいたい理解できていた。田中ロミオ、学園ラブコメに挑む。

📝 レビュー (aoitakuさんのレビュー)
評価:
5/5
レビュー:
世界は優しくない。
優しくないけれど、逃げてばかりで立ち向かおうとしない人間を、どうして助けてやれるだろう?
……そんなお話です。
テーマ的なもの、その扱い方は、まさしく田中ロミオでした。
ネタバレします。
えー、ラノベ読者の皆さんは多分経験あるでしょう。おうちの押し入れに黒歴史ノートがまだ残ってるという人も結構いるでしょう。ぼくもそうです。ぼくは今でもときどき読み返したりします。結構ドキドキします。恥ずかしさもあるんですけど、そういう厨二的なものの魅力や引力に、惹きつけられる自分がいるのもまた事実。だから、セカイ系とかいうものを読みたいし書きたいとか思ってしまうんですよね。
今作は、そういうゲーム的リアリズムの中の住人なんてリアルにいたら電波でしかねーよというアンチテーゼの投げかけです。砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけないんですよね。これはどう考えても涼宮ハルヒの憂鬱へのアンチテーゼです。というか、話のプロットだけ抜き出してみれば、ものすごく類似してます。狙ってやってるとしか思えない。
しかしながら、ゲーム的リアリズムを真っ向から否定するようでいて、そういうイタさがあってもいいじゃない。いつかはそういうものと笑って向き合えるようになりたい、と、ちゃんと真っ向から対峙して行くところは、すごく好感が持てました。なるほど「ツンデレ」はお嫌いなんですね、わかります。
***
と、べた褒めにした後で、けど、今回の作品って、そんなにすごかったか?と言われると、どうしてだか首を捻るわけです。というのは、前述の通り、プロット自体は涼宮ハルヒの憂鬱のそれと大差ないです(というかアンチ涼宮ハルヒの憂鬱を狙ってやってるとしか思えないんであれなんですが)。違うのは設定やテーマで、それこそが作品の根幹をなしているんで、全く別の作品になってる。けど、むしろ、氏の作品の中ではかなり王道的なシナリオだと思います。すごくわかりやすい話でした。
作品の面白さがプロットの出来だけでは決まらない、ということも、よく示してるなぁと思うんですけどね。でなければ、ユメミルクスリのケットシーねここルートはもっと評価されてよいわけで。
ところでこれ、『人類は衰退しました』より、ラノベユーザ層への受けは強いんだろうなぁ、と思ったりしますが、うーん、もったいない。皆衰退楽しめてないんだなぁ。
ベクトルが違うんでなんともって感じですけど話の構成的には衰退の方がよく練り込まれてますよ。その分、わかりにくいですけどね。2巻のバナナとか。
***
さて、MVPですね。恒例です。
ぶっちぎりで佐藤良子、ついで小鳩さん。大島さんは最後はなんだか可愛いかんじでしたね。悪役を最後でああいうふうに扱うことで、憎めなくしてしまうあたりは、本当にやってくれる。あとお姉ちゃんかっこよす。久米さん素敵す。吉沢くん意外す。小鳩さんえろす。みんなよいよ! あとどりせんと厨二軍団うざす^^
衰退の合間にこれからもこういうラブコメ書いてくれそうな感じなので、次は電波なヒロインが七人くらい出てきててんやわんやするSF的なものを書いて欲しいですねそれなんてエロゲ。
***
主観を交えない、と書きましたが、いえ、経験があるからです。戦士症候群だった、というわけではないですよ。ただ、いじめられている人間にとって、自分が変わろうとすることこそが最大の解決、というのは、当事者でないと本当には分からない感覚かもしれません。
ただ、そういうシンクロ部分抜きにしても、この話は★5つでした。
ありがとうございました。
優しくないけれど、逃げてばかりで立ち向かおうとしない人間を、どうして助けてやれるだろう?
……そんなお話です。
テーマ的なもの、その扱い方は、まさしく田中ロミオでした。
ネタバレします。
えー、ラノベ読者の皆さんは多分経験あるでしょう。おうちの押し入れに黒歴史ノートがまだ残ってるという人も結構いるでしょう。ぼくもそうです。ぼくは今でもときどき読み返したりします。結構ドキドキします。恥ずかしさもあるんですけど、そういう厨二的なものの魅力や引力に、惹きつけられる自分がいるのもまた事実。だから、セカイ系とかいうものを読みたいし書きたいとか思ってしまうんですよね。
今作は、そういうゲーム的リアリズムの中の住人なんてリアルにいたら電波でしかねーよというアンチテーゼの投げかけです。砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけないんですよね。これはどう考えても涼宮ハルヒの憂鬱へのアンチテーゼです。というか、話のプロットだけ抜き出してみれば、ものすごく類似してます。狙ってやってるとしか思えない。
しかしながら、ゲーム的リアリズムを真っ向から否定するようでいて、そういうイタさがあってもいいじゃない。いつかはそういうものと笑って向き合えるようになりたい、と、ちゃんと真っ向から対峙して行くところは、すごく好感が持てました。なるほど「ツンデレ」はお嫌いなんですね、わかります。
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と、べた褒めにした後で、けど、今回の作品って、そんなにすごかったか?と言われると、どうしてだか首を捻るわけです。というのは、前述の通り、プロット自体は涼宮ハルヒの憂鬱のそれと大差ないです(というかアンチ涼宮ハルヒの憂鬱を狙ってやってるとしか思えないんであれなんですが)。違うのは設定やテーマで、それこそが作品の根幹をなしているんで、全く別の作品になってる。けど、むしろ、氏の作品の中ではかなり王道的なシナリオだと思います。すごくわかりやすい話でした。
作品の面白さがプロットの出来だけでは決まらない、ということも、よく示してるなぁと思うんですけどね。でなければ、ユメミルクスリのケットシーねここルートはもっと評価されてよいわけで。
ところでこれ、『人類は衰退しました』より、ラノベユーザ層への受けは強いんだろうなぁ、と思ったりしますが、うーん、もったいない。皆衰退楽しめてないんだなぁ。
ベクトルが違うんでなんともって感じですけど話の構成的には衰退の方がよく練り込まれてますよ。その分、わかりにくいですけどね。2巻のバナナとか。
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さて、MVPですね。恒例です。
ぶっちぎりで佐藤良子、ついで小鳩さん。大島さんは最後はなんだか可愛いかんじでしたね。悪役を最後でああいうふうに扱うことで、憎めなくしてしまうあたりは、本当にやってくれる。あとお姉ちゃんかっこよす。久米さん素敵す。吉沢くん意外す。小鳩さんえろす。みんなよいよ! あとどりせんと厨二軍団うざす^^
衰退の合間にこれからもこういうラブコメ書いてくれそうな感じなので、次は電波なヒロインが七人くらい出てきててんやわんやするSF的なものを書いて欲しいですねそれなんてエロゲ。
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主観を交えない、と書きましたが、いえ、経験があるからです。戦士症候群だった、というわけではないですよ。ただ、いじめられている人間にとって、自分が変わろうとすることこそが最大の解決、というのは、当事者でないと本当には分からない感覚かもしれません。
ただ、そういうシンクロ部分抜きにしても、この話は★5つでした。
ありがとうございました。
読書履歴
2008/07/20
360ページ
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18人
3.5