
📝 レビュー (zooko012さんのレビュー)
レビュー:
題名で衝動買い。家族を亡くした若手の人文地理学者が、昭和のはじめに、九州南部にある「遅島」を訪れる。照葉樹林で覆われた、独自の民間信仰が廃仏毀釈でついえた、落人部落のある島であった。彼は、70歳を超えて、再度「遅島」を訪れるが、そのとき見たものは。。蜃気楼、男性領域と女性領域を示す母屋と離れが寄り添いつつ完全に分離した家構造。雪の中すっくと前を見て立ったまま死んでいるカモシカ。印象に残るモチーフがたくさんある。「沼地のある森を抜けて」を読んで「すげー」と思ったものの、何が凄いのか言葉にできなかったが、この本も同じ。ただ「沼地」の方が凄く、この本は「何か」に対する過渡的な作品である気がする(これも言葉にできないが、もっと展開できたはずというような消化不良感もある)。いずれにせよ、残像映像力?が強い小説ではある。
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