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見えざるユダヤ人―イスラエルの〈東洋〉 (平凡社選書 (174))

見えざるユダヤ人―イスラエルの〈東洋〉 (平凡社選書 (174))

臼杵 陽

この本の所有者

1人が登録
76回参照
2010年9月26日に更新

書籍情報

著者:
臼杵 陽
ページ数:
274ページ
参照数:
76回
登録日:
2010/09/26
更新日:
2010/09/26

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📝 レビュー (northeast57さんのレビュー)

評価:
5/5
レビュー:
 ミズラヒームとは、非ヨーロッパ系出身、特に中東イスラーム世界出身のユダヤ人を指す。日本人にとって、ユダヤ人は、西欧におけるユダヤ人のイメージとしてしか知られていないが、イスラエルにおいて、中東イスラーム世界からの移住者は、人口上文化上、さらに政治上も大きな位置を占めている。
 彼らは、アラビア語を母語としヨーロッパ音楽よりアラブ音楽にシンパシーを感ずる人々であり、歴史的にはヨーロッパに置けるような組織的な弾圧を受けたことはなかった。しかしイスラエル建国により、中東諸国において反ユダヤ感情が高まり、イスラエルへの移住を余儀なくされたのである。
 彼らは、ヨーロッパ系ユダヤ人(シオニスト)により形成されたイスラエルにおいては、西欧系>東欧系>中東系>イスラエル国籍のアラブ人>パレスチナ人という序列に組み込まれ、「見えざるユダヤ人」となっている。
 こうした実情から、彼らは、アラビア語文学などにより独自の文化、アイデンティティを形成しており、イスラエル・アラブの和解の可能性を象徴するようである。しかし、アラブとの和平を進めたラビン首相の暗殺犯はイエメン系であり、問題の複雑性を認識させられる。
 日本人の知らない、イスラエルの実情を知る貴重な一冊。

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