山手線内回りのゲリラ―先崎学の浮いたり沈んだり
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文春に連載の「浮いたり沈んだり」のセレクト版。棋界の様子を楽しく伝える。分量上の限界や掲載誌の性質の問題もあるのだろうが、やはり、先崎は昔の熱さ漲る我が身を切りながらのヒリヒリ感のあるエッセイの方がよい(「一葉の写真」、「フフフの歩」)。良くも悪くも、本著は、緊張感がなく、シビアな戦いから「おりてしまった人のエッセイ」との印象が拭えない。なお、楽しかったのは、佐藤康光九段の新婚時のエピソード。将棋世界で夫婦の写真を載せることになったが、1時間中50分お互い見つめ合い、正面を向いてくれないため、写真にならなかったとのことである・・・。このあたりを楽しく伝えることについては、先崎は超一流なのだけど。