
チヨ子 (光文社文庫)
この本の所有者
33人が登録
83回参照
2011年11月6日に更新
書籍情報
- 著者:
- 宮部 みゆき
- ページ数:
-
244ページ
- 参照数:
- 83回
- 登録日:
- 2011/11/06
- 更新日:
- 2011/11/06
- 所有者:
-
nochimochiさん
この本を共有する
📝 レビュー (nochimochiさんのレビュー)
評価:
3/5
レビュー:
80~90年代の宮部さんの本はよく読んでいた。こんなにメジャーになる前の時代、『レベル7』とか『龍は眠る』とか。独特のストーリー展開と、主人公の心理描写の妙とか、すごく面白かった。しばらく「小説」というフィールドから離れてしまった(自分が)こともあって、久々の宮部本でした。
「いきなり文庫化」というのが話題のひとつらしいけれども、読み手としてはあまり惹かれない。短編集で、すぐに「オチ」が来てしまうところに、いまひとつ物足りなさを感じたけれども、心理描写や、テーマの発想はさすがだと思った。本書のテーマは、「超常現象を題材にした珠玉のホラー&ファンタジー」ということらしいが、全体を通じて、「ホラー」の感じはあまりしない。表題作「チヨ子」がそうであるように、「ファンタジー」という言葉の方が強く感じる。
アルバイトで着ぐるみを被ることになった大学生が、その着ぐるみの内側から見える世界は...そして、その「超常現象」体験から何を思い出し、自分の中に眠っていた何を引き出して、「現象」前の自分とは違う、言ってみれば本来の自分になっている...という爽快なストーリーである。
どの編にも、「死」という暗い、できれば避けたいテーマがある。それを直接、あるいは間接に経験した人物が主人公であり、その「重さ」を持ち合わせた心理が描かれる。自分がそういう立場になったことはないし、あくまでも「小説の世界」ではあるのだけれども、引き込まれる展開であることは確か。「読み進める」楽しさを、具現化する文章は、稀代のプロという感じですね。
重いテーマを扱っているけれども、読後感はサラっとしています。最後の短編は少しその「重さ」が強すぎたけれども、全体を通じての印象はそう。ただ、個人的には、宮部さんの小説は、いろいろな伏線が絡まりあって、最後の最後はどうなるのか、っていうワクワク感を楽しみにしているところがあるので、短編ではそのあたりがやや不満かも。「300ページあっても(続きが気になって)時間を忘れて読んでしまう」という体験を、も一度してみたいなあって、改めて思っちゃいましたね。
年頃の娘を持つ父親の話、インターネットからの情報がキーになる話、学生時代の、そのころだからこその行動が「答え」である話、改めてみてみれば、身近な題材でもあるわけですね。そこも「読む人の背景」とある程度合致してストーリーに入りやすい要因でもあるのかもしれません。小説家って、超一流の小説家って、すごいですね。
【ことば】...現代もので書いてたネタの方向を変えて時代もので書いたり...百均のお店で置き場所を変えるみたいな、そういうことをしながら書くのが楽しい。
著者自らの言葉です。ここら辺に「発想」の広がりがあるんでしょうね。既成概念にとらわれず、「置き場所」を変えることで新しいものになる。それらの根底には「書くことが楽しい」というマインドが ある。プロでなくてもできることだけど、プロゆえに実行していることでもある。
「いきなり文庫化」というのが話題のひとつらしいけれども、読み手としてはあまり惹かれない。短編集で、すぐに「オチ」が来てしまうところに、いまひとつ物足りなさを感じたけれども、心理描写や、テーマの発想はさすがだと思った。本書のテーマは、「超常現象を題材にした珠玉のホラー&ファンタジー」ということらしいが、全体を通じて、「ホラー」の感じはあまりしない。表題作「チヨ子」がそうであるように、「ファンタジー」という言葉の方が強く感じる。
アルバイトで着ぐるみを被ることになった大学生が、その着ぐるみの内側から見える世界は...そして、その「超常現象」体験から何を思い出し、自分の中に眠っていた何を引き出して、「現象」前の自分とは違う、言ってみれば本来の自分になっている...という爽快なストーリーである。
どの編にも、「死」という暗い、できれば避けたいテーマがある。それを直接、あるいは間接に経験した人物が主人公であり、その「重さ」を持ち合わせた心理が描かれる。自分がそういう立場になったことはないし、あくまでも「小説の世界」ではあるのだけれども、引き込まれる展開であることは確か。「読み進める」楽しさを、具現化する文章は、稀代のプロという感じですね。
重いテーマを扱っているけれども、読後感はサラっとしています。最後の短編は少しその「重さ」が強すぎたけれども、全体を通じての印象はそう。ただ、個人的には、宮部さんの小説は、いろいろな伏線が絡まりあって、最後の最後はどうなるのか、っていうワクワク感を楽しみにしているところがあるので、短編ではそのあたりがやや不満かも。「300ページあっても(続きが気になって)時間を忘れて読んでしまう」という体験を、も一度してみたいなあって、改めて思っちゃいましたね。
年頃の娘を持つ父親の話、インターネットからの情報がキーになる話、学生時代の、そのころだからこその行動が「答え」である話、改めてみてみれば、身近な題材でもあるわけですね。そこも「読む人の背景」とある程度合致してストーリーに入りやすい要因でもあるのかもしれません。小説家って、超一流の小説家って、すごいですね。
【ことば】...現代もので書いてたネタの方向を変えて時代もので書いたり...百均のお店で置き場所を変えるみたいな、そういうことをしながら書くのが楽しい。
著者自らの言葉です。ここら辺に「発想」の広がりがあるんでしょうね。既成概念にとらわれず、「置き場所」を変えることで新しいものになる。それらの根底には「書くことが楽しい」というマインドが ある。プロでなくてもできることだけど、プロゆえに実行していることでもある。
読書履歴
2011/11/06
244ページ
AIが見つけた似た本
「チヨ子 (光文社文庫)」の文章スタイル、テーマ、内容を分析し、 類似度の高い本を10冊見つけました
石の猿 下 (3) (文春文庫 テ 11-12)
ジェフリー・ディーヴァー
冷酷無比の殺人者“ゴースト”は狡猾な罠をしかけ、密航者たちのみならずライムの仲間の命をも狙う。愛する者たちを守るには、やつに立ち向かうしかない。真摯に敵を追う中国人刑事ソニーの協力も得、ライムはついに...
5人
5

有栖
Lv.66
読了

みか
Lv.20
読了

Hiro316
Lv.222
読了
bmasu
Lv.61
読了

たれえり
Lv.116
いつか買う

びわびわ
Lv.265
読了

ひなこっくす
Lv.54
読了

mabu
Lv.74
読了

かず
Lv.61
読了

rika
Lv.19
読了

あやか
Lv.43
読了

nochimochi
Lv.90
読了

かおる
Lv.52
まだ読んでない

Smash
Lv.43
読了

iria
Lv.113
読了

Pongiorno
Lv.168
読了

もにか
Lv.64
昔読んだ

tomoyu
Lv.108
昔読んだ

あず
Lv.101
読了

ままろん
Lv.65
読了

プクプク1世
Lv.79
読書中

ハシモトマヒロ
Lv.90
読了

zz
Lv.79
読了

blsk
Lv.191
昔読んだ

松千代
Lv.51
まだ読んでない

くつ
Lv.219
読了

きい
Lv.35
読了

めめんともり
Lv.263
読了

Latir
Lv.152
昔読んだ

やこ
Lv.32
読了

chiezo
Lv.43
読了

potato
Lv.43
読了

にょりたん
Lv.116
まだ読んでない