レビュー

zooko012
2012年3月読了
本来ならつまらなくないのであろう。アマゾンの評判もよい。ただ、同じ手法で書かれた前書の「俵屋の不思議」の方が圧倒的に面白く、その意味では期待はずれだったとしかいいようがない。「俵屋」では、外国人の学者と結婚した女主人の佐藤年の美意識・存在感が何とも強烈である。また、これに吸い寄せらるように集まり俵屋の美を形作っている、洗い屋(柱・風呂などを洗い上げる)、和花屋、庭師、骨董屋、和紙屋、畳屋、俵屋に惚れきり勤め上げている従業員も、佐藤年に劣らず個性的。ところが、「帝国ホテル」は良くも悪くも、存在が抽象的であり、それ故、どこかプロではあっても、出てくる人・職種(30種くらい)も、想像の範囲を超えず、サラリーマン的。作者の村松友視の驚き具合・熱の入れ具合ももかなり違うように思うのだ。
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