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ドラッカー名著集9 「経済人」の終わり

ドラッカー名著集9 「経済人」の終わり

P・F・ドラッカー

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レビュー

northeast57
northeast57 2013年6月読了
本書は経営学の書ではない。
1930年代台頭するドイツ・ナチズムとイタリア・ファシズムを分析し、やがて来る西ヨーロッパとの闘争を警告するものである。『「経済人」の終わり』とは、ブルジョア民主主義の経済的利益に基づき行動する人間「経済人」が、経済的不平等に無力であり、人々の不安を解消できず、また、社会主義も、新たな階級ノーメンクラツーラを産んで経済的不平等に陥るなか、「経済人」を終わらせ、経済的不平等の解消を期待されるファシズムの登場を説明する。しかしファシズムは「経済人」に変わる価値を提供するのではなく、自由資本主義体制を否定続けることで国民の支持を維持しているに過ぎない。こうして、ファシズムは体制をいずれ西側と闘争を開始することになるであろうと予言する。これに対する西側の武器は「経済人」に変わる新しい価値であるというが、ドラッカーにもそれが何かは分からない。
結局、ドラッカーの予測とは異なりWW2後の世界は「経済人」の世界、経済的不平等の世界に戻っしまったように思える。より高度に「洗練された」「経済人」がグローバルに闊歩しているのである。
そして、現在の日本政治の混乱は、ドラッカーの見た30年代ドイツ・イタリアの混乱の状況が重なって見える。我々は再度ファシズムに陥ることなく、新しい価値を持つ人間象を作ることができるのだろうか。

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