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黒猫の愛読書 I  -THE BLACK CAT’S CODEX-  隠された闇の系譜 (角川スニーカー文庫 209-1)

黒猫の愛読書 I -THE BLACK CAT’S CODEX- 隠された闇の系譜 (角川スニーカー文庫 209-1)

藤本 圭

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レビュー

aoitaku
aoitaku
2008年10月読了
 本の声が聴こえるっていうのには、すごく憧れる。ヒロインのように、本に囲まれて暮らせたらといつも思います。

 さて、嵐が丘がモチーフっていうこともあって、文学少女みたいなのを期待したくなるところだけど、文学少女みたいな面白さを求めるときっと期待と実際との間に大きな齟齬ができるだろうから、それはしないことをオススメします。ベクトルが違う。
 メタ小説といわれれば、確かにメタ小説でした。
 が、んー、メタ小説的な面白さよりも、これはええと、黒の年代記ノリで読むのがよろしいかと思います。歴史オカルト系。あとクトゥルフ。ティンダロスの猟犬(とは明言されてないけど)とか出てきます。ちゃんと鋭角から襲ってくるし。
 駄目だったところは、文がくどいあたり。
 過剰装飾というか。無理に凝った語彙を使うより、自然な言葉で表現してくれた方が好ましい。比喩に専門用語を持ってきたり、っていうのは、スムーズな理解を妨げやすいし、何より、なぜその用語がここで出てくるのかという場違いさが。この辺はとても残念。それでも基本的な文章レベルが高いのはさすがスニーカー受賞作品という感じなのだけど、時載りリンネ!と比べると、若干落ちる感じでした。まぁ、作品重ねるうちにこなれて無理がなくなると思うので、今後に期待かしら。
 構成はまぁ、悪くないと思います。モチーフもそこそこ上手く使えてると思うし、最初からオカルト路線と分かっていれば違和感なく物語の世界観に入っていけるかと。
 もうちょっとヒロインの成長にスポットあてて展開すると、もっとよかったかも、とは思うところ。

 MVPは綴。コンプレックスを抱える眼鏡の地味っ子っていうだけでもうドツボでした。ごちそうさまでした。できればずっと眼鏡のままでいてくれれば。おしゃれ眼鏡とかさ。

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